「真っ直ぐに生きていきたい。」
そう願うことも忘れかけていた頃
プランターは全て枯れた。
球根だけが残されていた。
あの日の、「あの」瞬間、
私の絵は逃げていった。
そして、
私は水を注いでくれた人たちを裏切り、
自ら背を向け逃げた。
あの時、「あの」諦めの瞬間、
人生の大切なものを失った。
そして、
心の奥深くで人を妬んだ。
身体は錆び、頭の中には蜘蛛が巣食い、
年が経つにつれ、口にする言葉は繰り返し、
いつかは戻ってきたいと願っても
日増しに見るものは色を失っていく。
ついぞの「あの」人の言葉は、
心を取り戻す最後の機会だと感じた。
自分が今、取り戻したいものの為に、
今は色のないドローイングを
かくことからはじめようと思う。
2007年のグラフィックデザインと貼り絵の個展から
早くも18年が経ちました。
今回の展示は、絵のみで構成した展示ですので
初めての個展ともいえます。
絵を描き始めたばかりで、これらを人前に出すことは、
果たしてどうなのか、などと考えていたら
20年近くの歳月が過ぎていました。
周りは立派なものばかりで諦めそうになりますが、
人らしさを取り戻すことに向けて、まずは自分の為に
リハビリテーションをするために、ドローイングをはじめました。
今回は、その決意表明として、小さな展示をさせていただきます。
どうぞ、ご笑覧いただければ幸いです。